一般線形群
この記事では, 一般線形群 $\GL_n(\R)$ が
・コンパクトでない
・連結でない
ことを証明します。
証明の前に一般線形群の定義を確認しておきます。
定義
$M_n(\R)$ を $n$ 次の実正方行列全体とする.
\[ \GL_n(\R)=\{A\in M_n(\R)\mid \det A\neq 0\} \]
と定義する.
$\GL_n(\R)$ を一般線形群(general linear group)という.
※ $M_n(\R)$ は $n^2$ 次元のユークリッド空間と同一視できる.
なので, その相対位相を考えることによって, $\GL_n(\R)$ は位相空間の構造をもつ.
$\GL_n(\R)$ はコンパクトでない
問題
$\GL_n(\R)$ はコンパクトでないことを示せ.
- ▼ 証明
-
[証明]
$f:\GL_n(\R) \to \R,\ $ $\ A \mapsto \det A$
とすると, $f$ は連続である.
($\because\ $ $\det A$ を展開して整理すると多項式の形になるから.)
$f(\GL_n(\R))$ $=\R\sm\{0\}$ はコンパクトでない.
したがって, 次の定理の対偶より $\GL_n(\R)$ はコンパクトでない.
定理
$f:X \to Y$ を連続写像とする.
$X$ がコンパクトならば, $f(X)$ もコンパクトである.
[証明]
[松坂 5章定理12]または[内田 定理22.3]を参照せよ.
$\GL_n(\R)$ は連結でない
問題
$\GL_n(\R)$ は連結でないことを示せ.
- ▼ 証明
-
[証明]
$f:\GL_n(\R) \to \R,\ $ $A \mapsto \det A$ とすると, $f$ は連続である.
($\because\ \ \det A$ を展開すると多項式の形になるから.)
連続像 $f(\GL_n(\R))=\R\sm\{0\}$ は連結でない.
したがって, 次の定理の対偶より, $\GL_n(\R)$ は連結でない.
定理
$f:X \to Y$ を連続写像とする.
$X$ が連結ならば, $f(X)$ も連結である.
[証明]
[松坂 5章定理1]または[内田 定理25.1]を参照せよ.