Takatani Note

【LaTeX】括弧(かっこ)【種類、大きさ自動調整】

この記事ではLaTeXで括弧を出力するコマンドを紹介します。

括弧のコマンド集

表示コマンド名称
$(x)$(x)丸括弧(round bracket)
$[x]$[x]角括弧(square bracket)
$\langle x \rangle$\langle x \rangle山括弧(angle bracket)
$\{x\}$\{ x \}波括弧・中括弧(brace)
$|x|$|x|パイプ
$\| x \|$\| x \|ダブルパイプ
$\lfloor x \rfloor$\lfloor x \rfloor床関数
$\lceil x \rceil$\lceil x \rceil天井関数

補足:
$[x]$ は\lbrack x \rbrackでも可.
$|x|$ は\lvert x \lvertでも可.
$\lVert x \lVert$ は\lVert x \lVertでも可.

括弧のサイズを手動調整

括弧のサイズは\big \Big \bigg \Biggによって変えられます。左から順に括弧が大きくなります。

\big( \frac{a}{b} \big)
\Big( \frac{a}{b} \Big)
\bigg( \frac{a}{b} \bigg)
\Bigg( \frac{a}{b} \Bigg)
Output:

$$\big( \frac{a}{b} \big) \Big( \frac{a}{b} \Big) \bigg( \frac{a}{b} \bigg) \Bigg( \frac{a}{b} \Bigg) $$

上記のとおり、\big(のように\bigの直後に括弧コマンドをつけます。

()だけでなく、[], {}, |なども\big,\Bigなどが使えます。

表示コマンド
$( \big( \Big( \bigg( \Bigg($ ( \big( \Big( \bigg( \Bigg(
$[ \big[ \Big[ \bigg[ \Bigg[$ [ \big[ \Big[ \bigg[ \Bigg[
$\langle \big\langle \Big\langle \bigg\langle \Bigg\langle$ \langle \big\langle \Big\langle \bigg\langle \Bigg\langle
$\{ \big\{ \Big\{ \bigg\{ \Bigg\{$ \{ \big\{ \Big\{ \bigg\{ \Bigg\{
$| \big| \Big| \bigg| \Bigg|$ | \big| \Big| \bigg| \Bigg|
$\| \big\| \Big\| \bigg\| \Bigg\|$ \| \big\| \Big\| \bigg\| \Bigg\|
$\lfloor \big\lfloor \Big\lfloor \bigg\lfloor \Bigg\lfloor$ \lfloor \big\lfloor \Big\lfloor \bigg\lfloor \Bigg\lfloor
$\lceil \big\lceil \Big\lceil \bigg\lceil \Bigg\lceil$ \lceil \big\lceil \Big\lceil \bigg\lceil \Bigg\lceil

\bigl \bigm \bigr

\big, \Big, \bigg, \Biggだと前後の空白が調整されません。 前後の空白が気になるときは次のコマンドが有用です。

\bigl\bigrはセットで用います。 \Bigl,\biggl,\Bigglも同様です。

\big\biglの違いを次の例でわかると思います。

\bigl[ \times \bigr]
\big[ \times \big]
Output:

$\bigl[ \times \bigr]$
$\big[ \times \big]$

上記のとおり、\bigのほうが水平方向の余白が大きいです。

\Bigl\{ \frac{1}{n} \Bigm| n \in \mathbb{N} \Bigr\}
\Big\{ \frac{1}{n} \Big| n \in \mathbb{N} \Big\}
Output:

$\begin{array}{l}\ds \Bigl\{ \frac{1}{n} \Bigm| n \in \mathbb{N} \Bigr\} \\ \ds \Big\{ \frac{1}{n} \Big| n \in \mathbb{N} \Big\} \end{array}$

このように\Big|では集合の真ん中の縦線が窮屈です。 一方、\Bigm|では違和感のない余白です。

括弧の大きさを自動調節

\left,\right

\left\rightによって、括弧の大きさが自動的に調整されます。 \left\rightは必ずセットで用います。(片方だけならエラーが出ます。)

\left( x+y \right)^2
\left( \frac{1}{2} \right)^2
\left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1
Output:

$\ds \left( x+y \right)^2 \ \ \ \left( \frac{1}{2} \right)^2 \ \ \ \left[ \frac{1}{2}x^2 \right]_0^1 $

片方だけ括弧を出力したいとき

次のようにします。

\left( \frac{1}{2} \right.
\left. \frac{df}{dx} \right|_{x=0}
Output:

$\begin{array}{l}\ds \left( \frac{1}{2} \right. \\ \ds \left. \frac{df}{dx} \right|_{x=0} \end{array}$

ここで、\left.および\right.のピリオド「.」は「見えない括弧」(invisible bracket)を意味します。 このように、片方だけ大きな括弧を出力したいときは「.」を用います。

\middle

\left\rightによって、両端の括弧だけが自動的に適切な大きさになります。 両端だけでなく、その間の括弧も大きさを調整したいとき、\middleが有用です。

\left\{ \frac{1}{n} \middle| n \in \mathbb{N} \right\}
Output:

$\ds \left\{ \frac{1}{n} \middle| n \in \mathbb{N} \right\} $

なお、\middleは1つだけでなく、2つ以上挿入できます。

複数行にわたる数式に括弧の自動調整

align環境で次の数式を表示させたい場合を考えます。

$$ \begin{align*} y = 1 + & \left( \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} + \ldots \right. \\ &\left. \quad + \frac{1}{x^{n-1}} + \frac{1}{x^n} \right) \end{align*} $$

大きな括弧に対して、\left,\rightを用いたいところですが、 \left,\rightは両者の間に改行コマンド\\や列を変えるコマンド&を入力できないルールがあります。 したがって、次の例は出力がエラーになります。

%\leftと\rightの間に\\と&がある
\begin{align*}
y  = 1 + & \left(  \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} + \ldots  \\
  & \quad  + \frac{1}{x^{n-1}} + \frac{1}{x^n} \right)
\end{align*}
Output:

エラー!

では、どうするか? 先ほど説明した「見えない括弧」 \left.および\right.を用います。

\begin{align*}
y  = 1 + & \left(  \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} + \ldots \right. \\
  &\left. \quad + \frac{1}{x^{n-1}} + \frac{1}{x^n} \right)
\end{align*}
Output:

$ \begin{align*} y = 1 + & \left( \frac{1}{x} + \frac{1}{x^2} + \ldots \right. \\ &\left. \quad + \frac{1}{x^{n-1}} + \frac{1}{x^n} \right) \end{align*} $

二項係数 $\binom{n}{k}$

表示コマンド
$\binom{n}{k}$ \binom{n}{k}スタイルに合わせた表示
$\dbinom{n}{k}$ \dbinom{n}{k}常にディスプレイスタイル

上記のとおり、二項係数を出力するコマンドとして\binom{n}{k}があります。 ディスプレイスタイルにしたいときは分数と同様にdbinom{n}{k}と入力します。