環の次元
定義
定義
環 $A$ の素イデアルの真減少列:
$\ \ \ \p_0\supsetneq \p_1\supsetneq \cdots \supsetneq\p_r$
の長さ $r$ の上限を $A$ のクルル次元
(Krull dimension)
または単に次元といい, $\dim A$ で表す.
例
例
$\dim \Z=1$ である.
実際, $Z$ の素イデアルは $(p)$ と $(0)$ だけであり,
$(p)\supsetneq (0)$ である. (※$p$ は素数)
※一般に, 体でない単項イデアル整域は1次元である.
例
アルティン環は0次元である.
実際, アルティン環の任意の素イデアルは極大イデアルだからである.
特に, $\dim \C[x]/(x^2)=0$ である.
例
$\dim k[x_1,\cdots,x_n]=n.$
※$k$ は体.
整拡大と次元の関係
次の定理は次元計算にとても役立つ.
定理 [松村 問題9.2]
$A$ を環, $B$ をその整拡大な環ならば,
$\ \ \ \dim A=\dim B.$
例
$\C[t^2,t^3]\subset \C[t]$ は整拡大なので,
$\ \ \ \dim \C[t^2,t^3]$ $=\dim \C[t]=1.$
例
$\Z\subset \Z[i]$ は整拡大なので,
$\ \ \ \dim \Z$ $=\dim \Z[i]=1.$
このように, $\Z[i]$ の次元が簡単に求まる.
参考文献
松村英之「可換環論」共立出版