Takatani Note

環準同型定理の応用

次の定理を環準同型定理といいます。

定理 (環準同型定理)
$\v: A\to B$ を環の準同型写像とする.
このとき, $A/\Ker\v \cong \Im\v.$

この記事では、環準同型定理の応用として、2つの環の同型を示す問題を扱います。

環準同型定理の応用


$\Q[x]/(x^2-2) \cong \Q[\sqrt{2}].$

証明
[証明]
$\v:\Q[x] \to \Q[\sqrt{2}],$
$f(x) \mapsto (f(\sqrt{2}))$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(x^2-2).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x]/(x^2+1) \cong \C.$

証明
[証明]
$\v:\R[x] \to \C,$
$f(x) \mapsto f(i)$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(x^2+1).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x]/(x(x-1)) \cong \R \times \R$

証明
[証明]
$\v:\R[x] \to \R \times \R,$
$f(x) \mapsto (f(0),f(1))$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(x(x-1)).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x,y]/(y^2-x^3)$ $\cong \R[t^2, t^3].$

証明
[証明]
$\v:\R[x,y]$ $\to \R[t^2, t^3],$
$f(x,y) \mapsto f(t^2, t^3)$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(y^2-x^3).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x,y,z]/(y^2-xz) $ $\cong \R[s^2,st,t^2].$

証明
[証明]
$\v:\R[x,y,z] $ $\to \R[s^2,st,t^2],$
$f(x,y,z)$ $\mapsto f(s^2,st,t^2)$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(y^2-xz).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\Z[x]/(2x-1) \cong \Z[\frac{1}{2}].$

証明
[証明]
$\v:\Z[x] \to \Z[\frac{1}{2}],$
$f(x) \mapsto f(\frac{1}{2})$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(2x-1).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x,y]/(xy-1) \cong \R[t, \frac{1}{t}].$

証明
[証明]
$\v:\R[x,y] \to \R[t, \frac{1}{t}],$
$f(x,y) \mapsto f(t, \frac{1}{t})$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(xy-1).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.


$\R[x,y]/(y-x^2) \cong \R[x] $

証明
[証明]
$\v:\R[x,y] \to \R[x],$
$f(x,y) \mapsto f(x,x^2)$
とすると, $\v$ は全射で, $\Ker\v=(y-x^2).$
従って, 準同型定理より, 上の同型が成り立つ.