Takatani Note

多様体論のコツ

この記事は, 私がツイッター(@takatani57)でつぶやいた多様体論のコツをまとめたものである.

勉強法・コツ

σコンパクトは多様体論で重要

σコンパクトは多様体論で重要です.
σコンパクト多様体は
・リーマン計量が存在する
・1の分割が存在する
・ホイットニーの埋め込み定理が成立[多様体の基礎 定理13.13]
という特徴を持っています.
これらは多様体を調べるのに必要です.

※リーマン計量によって曲率が定義できる.
※1の分割によって多様体上で積分が定義できる

多様体は $\R^n,S^n,\P^n$ を一般化したもの

多様体とは何か?それは
・ユークリッド空間 $\R^n$
・$n$ 次元球面 $S^n$
・射影空間 $\P^n$
この3つを一般化したものである.

初学者はこの認識でOKです.
なぜなら,上記3つだけを具体例にして考えれば 「多様体の基礎」松本幸夫 の大部分が読めるからです.
特に, 射影空間は $C^\infty$ 関数の局所座標表示を理解するのに役立ちます

射影空間 $\P^n$ は重要

多様体を理解するには実射影空間 $\P^n$ のイメージが大事.

特に $n+1$ 個の $\R^n$ を座標変換で張り合わせることによって $\P^n$ ができる感覚.

($n=1$)
2本の直線 $(\R;x),(\R;y)$ に対し,
2点 $x,y$ は $y=1/x$ を満たすとき同一視するという商空間を定めると, この商空間は $\P^1.$

※のりしろは原点以外,のりは座標変換 $y=1/x$

ベクトル場・微分形式の応用は?

松本「多様体の基礎」では,
・ベクトル場
・微分形式
に関しては定義と計算の説明しかなく,重要性が全然わからないと思います.

この2つはベクトル束や接続を導入してから大活躍します.
主に微分幾何や複素幾何でベクトル場・微分形式の計算を大量にすることになります.

多様体論の重要定理

松本「多様体の基礎」では次の定理が重要.
(テストに出る可能性大)

定理15.1
点 $q\in N$ が $C^r$ 級写像 $f:M\to N$ の正則値で, $f^{-1}(q)\neq\emp$ であるとすると, 逆像 $f^{-1}(q)$ は $M$ の $(m-n)$ 次元 $C^r$ 級部分多様体である.


$f:\R^3\to \R,$
$(x,y,z)\mapsto x^2+y^2+z^2$
は $C^\infty$ 級で, 点 $1\in \R$ は $f$ の正則値なので, $f^{-1}(\{1\})=S^2$ は $\R^3$ の部分多様体.

モース理論

松本「多様体の基礎」第4章の「正則点と臨界点」 に興味を持った人はモース理論がオススメです.

モース理論では,多様体上のモース関数を使って多様体の幾何構造を調べていきます.
そこで臨界点が大きな役割を果たします

次がオススメ
・松本幸夫「Morse関数の基礎」
・横田一郎「多様体とモース理論」