群の表現
定義
$G$ を群, $V$ を複素ベクトル空間とする.
写像 $\pi :G\to \GL(V)$ が与えられて, 任意の $x,y\in G$ に対して,
$(1)\ \pi(x)\pi(y)=\pi(xy),$
$(2)\ \pi(e)=id$
を満たすとき, $\pi$ を群 $G$ の $V$ 上の表現という.
(※ $e$ は $G$ の単位元)
すなわち, 群 $G$ の表現とは $G$ から
$\GL(V)$ への群準同型写像のことである.
例
$\R$ を実数の加法群とする.
$\pi:\R\to \GL(2,\C),$
$\ \ \ \ \ x\mapsto
\m{ 1 & x
\cr 0 & 1 }
$
とすると, $(\pi, \C^2)$ は2次元表現である.
[証明]
任意の $x,y\in \R$ に対して,
\[
\m{ 1 & x
\cr 0 & 1 }
\m{ 1 & y
\cr 0 & 1 }
=
\m{ 1 & x+y
\cr 0 & 1 }
\]
より, $\pi(x)\pi(y)=\pi(x+y)$ が成り立つ.
また, $\pi(0)=I_2$ である. (※$I_2$ は2次の単位行列)
よって $\pi$ は $\R$ の表現である.
例
$\R$ を実数の加法群とする.
$\pi:\R\to \GL(1,\C)\cong \C^*,$
$\ \ x\mapsto e^{ix}$
とすると $(\pi, \C)$ は1次元表現である.
[証明]
任意の $x,y\in \R$ に対して,
\[\pi(x)\pi(y)=e^{ix}e^{iy}=e^{i(x+y)}=\pi(x+y)\]
が成り立つ.
また, $\pi(0)=1$ である.
よって, $\pi$ は $\R$ の表現である.