上極限と下極限の求め方【例題】
この記事では, 上極限と下極限の性質を証明した後、数列の上極限・下極限の求め方に関する例題を扱います。
まず、上極限および下極限の定義を確認しておきます。
定義 (下極限)
有界な数列 が与えられたとして,
とおく. 明らかに は単調増大かつ有界な数列である.
ゆえに, は収束する. その極限
を 数列 の下極限(inferior limit)といい,
または
で表す. まとめると,
定義 (上極限)
有界な数列 が与えられたとして,
とおく. 明らかに は単調減少かつ有界な数列である.
ゆえに, は収束する. その極限
を 数列 の上極限(superior limit)といい,
または
で表す. 要するに
注意 以下, 記号
および をそれぞれ
と略記することがあります。
例
- ▼ 証明
-
[証明]
とおくと,
より,
性質
定理
を実数列とする. このとき,
- ▼ 証明
-
[証明]
数列 は単調増大列であり,
数列
は単調減少列であることから明らか.
不等式
定理
を数列とするとき,
- ▼ 証明
-
[証明]
任意の に対して,
が成り立つ(参照:上限と下限(supとinf)【例題】)ことと,
により定理の主張が示される.
上の不等式について等号が成立しない例を紹介する.
例
とすると,
である. したがって, 上の定理の不等式(i),(ii),(iii)
は等号が成り立たない.
定理
を実数列とする.
は次の性質を持つ. 任意の に対して,
(i) となる項 は高々有限個しかない.
(ii) となる項 は無数にある.
は次の性質を持つ. 任意の に対して,
(i) となる項 は高々有限個しかない.
(ii) となる項 は無数にある.
[証明]
[小平 1.5 c)]参照.
上極限と下極限が一致 数列が収束
定理
数列 の上極限と下極限が一致する必要十分条件は
数列 が収束することである.
- ▼ 証明
-
[証明]
とおく.
上極限と下極限が一致しているとして,
とする. は単調増大で, を満たす数列なので,
は の上限である. ゆえに,
ある が存在して,
が成り立つ. 一方 は単調減少で,
を満たす数列なので,
は の下限である. ゆえに,
ある が存在して,
が成り立つ. とすると,
すなわち,
よって, 数列 は に収束する.
逆に, 数列 が に収束するとしよう.
まず, を任意にとる.
に対して, ある が存在して,
となる. したがって,
ゆえに
よって,
例題
上極限と下極限の求め方
数列 の上極限と下極限を求めるには,
それぞれ と
を求めればよい.
問題
数列 の上極限と下極限を求めよ.
- ▼ 解答
-
[解答]
数列 の値は周期的に
をとりうるので,
ゆえに,
問題
数列 を
と定める. このとき, の上極限と下極限を求めよ.
- ▼ 解答
-
[解答]
より, の下極限は
である.
より, の上極限は
である.
参考文献
- 小平邦彦『解析入門I』岩波書店
- 吹田信之・新保経彦『理工系の微分積分学』学術図書出版社