Takatani Note

3次元ファノ多様体【$(-K_X)^3$ の計算】

この記事では、いくつかの3次元ファノ多様体 $X$ に対して, $(-K_X)^3$ を求めます。
$(-K_X)^3$ は3次元多様体の基本的な不変量なので計算できるようになっておきましょう。

以下、定義と記号は[Har]に合わせています。

定義
$X$ を射影多様体とする.
$-K_X$ が豊富なとき, $X$ はファノ多様体(Fano variety)であるという.

$(-K_X)^3$ の計算

$\P^2\times \P^1$

問題
$X=\P^2\times \P^1$ とする.
このとき, $(-K_X)^3=54$ を示せ.

証明
[証明]
$\Pic(X)\cong \Z^2$ なので, $\Pic(X)$ の基底を $H,L$ とすると, \[ (-K_X)^3=(3H+2L)^3=3(3H)^2(2L)=54H^2L=54. \]

問題
$Y=\P^2\times \P^1$ とする.
$X$ を分岐因子がbidegree $(4,2)$ の $Y$ の二重被覆とする.
このとき, $(-K_X)^3=6$ を示せ.

[証明]
$\Pic(Y)\cong \Z^2$ より, $\Pic(Y)$ の基底を $H,L$ とする.
$D$ を bidegree $(2,1)$ の因子とすると, \[\eq{ (-K_X)^3 & =2(-K_Y-D)^3=2((3H+2L)-(2H+L))^3 \\ & =2(H+L)^3=2\cdot (3H^2L)=6. }\]

問題
$Y=\P^2\times \P^1$ とする.
分岐因子がbidegree $(2,2)$ の二重被覆を $X$ とする.
このとき, $(-K_X)^3=24$ を示せ.

[証明]
$\Pic(Y)\cong \Z^2$ より, $\Pic(Y)$ の基底を $H,L$ とする.
$D$ を bidegree $(1,1)$ の因子とすると,
\[\eq{ (-K_X)^3 & =2(-K_Y-D)^3=2((3H+2L)-(H+L))^3 \\ & =2(2H+L)^3 =2\cdot 3(2H)^2L=24H^2L=24. }\]

$\P^1\times \P^1\times \P^1$

問題
$X=\P^1\times \P^1\times \P^1$ とする.
このとき, $(-K_X)^3=48$ を示せ.

[証明]
$\Pic(X)\cong \Z^3$ より, $\Pic(X)$ の基底を $H,L,M$ とすると, \[ (-K_X)^3=(2H+2L+2M)^3=6(2H)(2L)(2M)=48. \]

問題
$Y=\P^1\times \P^1\times \P^1$ とする.
分岐因子がtridegree $(2,2,2)$ の二重被覆を $X$ とする.
このとき, $(-K_X)^3=12$ を示せ.

[証明]
$\Pic(Y)\cong \Z^3$ より, $\Pic(Y)$ の基底を $H,L,M$ とする.
$D$ を tridegree $(1,1,1)$ の因子とすると,
\[ (-K_X)^3=2(-K_Y-D)^3=2(H+L+M)^3 =2\cdot 6HLM =12. \]