Takatani Note

チャーン類の計算

この記事では, チャーン類の計算でよく使う基本事項を証明します。
以下の計算は重要ですが, ハーツホーンには詳しく書いていないので初学者にとって役立つはずです。

以下、定義と記号は[Har]に合わせています。
ただ、局所自由層 $\E$ のことをベクトル束 $E$ と言い換えています。

ベクトル束の外積

定理
$X$ を非特異射影多様体とし, $E$ を $X$ 上の階数2のベクトル束とする.
このとき, $c_1(E)=c_1(E\wedge E)$ である.

[証明]
$E$ のチャーン多項式 $c_t(E)$ を形式的な記号 $a_1,a_2$ を用いて
\[ c_t(E)=(1+a_1t)(1+a_2t) \] とする. 右辺を展開すると
\[ c_t(E)=1+(a_1+a_2)t+a_1a_2t \] なので,
\[ c_1(E)=a_1+a_2,\ \ c_2(E)=a_1 a_2 \] となる.
[Har A.3 C5]より,
\[ c_t(E\wedge E)=1+(a_1+a_2)t. \] よって, $c_1(E)=c_1(E\wedge E).$

定理
$X$ を非特異射影多様体とし, $E$ を $X$ 上の階数3のベクトル束とする.
このとき, $c_1(E)=c_1(\wedge^3 E)$ である.

[証明]
$E$ のチャーン多項式 $c_t(E)$ を形式的な記号 $a_1,a_2,a_3$ を用いて
\[ c_t(E)=(1+a_1t)(1+a_2t)(1+a_3t) \] とする. すると
\[ c_t(E)=1+(a_1+a_2+a_3)t +(a_1a_2+a_2a_3+a_3a_1)t^2 +a_1a_2a_3t^3 \] なので,
\[ c_1(E)=a_1+a_2+a_3, \] である. 一方で[Har A.3 C5]より,
\[ c_t(\wedge^3 E)=1+(a_1+a_2+a_3)t. \] よって, $c_1(E)=c_1(\wedge^3 E).$ $\square$

※一般的に, $E$ の階数が $r$ のとき, $c_1(E)=c_1(\wedge^r E)$ である.
この公式は $E=\Omega_X$ のときによく使う: \[ c_1(\Omega_X)=c_1(\wedge^r\Omega_X)=K_X. \]

ベクトル束の双対束

定理
$X$ を非特異射影多様体とし, $E$ を $X$ 上の階数2のベクトル束とする.
このとき, $c_1(E)=c_1(E^{\vee})$ である.

[証明]
\[\eq{ c_t(E) & =1+(a_1+a_2)t+a_1a_2t, \\ c_t(E^{\vee}) & =1-(a_1+a_2)t+a_1a_2t }\] なので, $c_1(E)=c_1(E^{\vee}).$ $\square$