Takatani Note

K3曲面のモジュライ

この記事では, K3曲面のモジュライが20次元であることを示す.
ただし, 大きな結果を受け入れて計算するだけなので, モジュライの本質的な議論はしない.
以下, 定義・記号は [Har]に合わせる.

はじめにK3曲面の定義を確認しておこう.

定義
$K_S\sim 0$ かつ $q(S)=0$ を満たす2次元コンパクトケーラー多様体 $S$ を K3曲面という.

K3曲面のモジュライ

補題
$S$ がK3曲面のとき,
\[ H^1(T_S)\cong \C^{20},\ \ H^2(T_S)=0,\]

[証明]
[Har II Ex5.16(b)]より,
\[ T_S\cong \Omega_S^1\otimes \O(S)(-K_S)\cong \Omega_S^1 \] である.
$h^{p,q}=h^q(\Omega_S^p)$ とおくと, $h^i(T_S)=h^{1,i}$ である.
$h^{1,0}+h^{0,1}=2q=0$ より, $h^{1,2}=h^{1,0}=0.$
なので, $H^2(T_S)=0.$

\[h^{2,0}=h^{0,2}=p_g(S)=1,\] \[h^{2,0}+h^{1,1}+h^{0,2}=h^2(S,\C)=e(S)-2=22.\] (ここで, $e(S)$ は $S$ のオイラー数.)
この2式から $h^{1,1}=20$ を得る.
よって, $H^1(T_S)\cong \C^{20}$ である.

定理
K3曲面のモジュライ空間 $M$ は20次元である.

[証明]
前の補題と次の小平・倉西の定理より, $\dim M=20.$

定理
$H^2(X_0,T_{X_0})=0$ ならば, $X_0$ の倉西空間 $\pi :\mathfrak{X} \to S$ が存在して, $\dim S= h^1(T_{X_0})$ を満たす.