Takatani Note

定数変化法の例題【微分方程式】

この記事では、定数変化法を用いて微分方程式を解く例題を扱います。

まず、定数変化法とは何か説明します。

定義
$y'$ と $y$ について1次であるような微分方程式 $$ y'+f(x)y=g(x) \tag{1} $$ を1階線形微分方程式という. $g(x)\equiv 0$ の場合の(1)を同次形という.

(1)の一般解を求めるよう. まず, 同次形 $$ y'+f(x)y=0 \tag{2} $$ は変数分離形で, これを $$ \f{dy}{y}+f(x)dx=0 $$ の形に書いて積分すれば $$ \log|y|+\int f(x)dx =C_1 $$ となる. これより, 同次形の一般解 $$ y=Ce^{-\int f(x)dx} \tag{3} $$ を得る. 次に, 方程式(1)の一般解を求めよう. (3)において $C$ を定数でなく $x$ の適当な関数 $C(x)$ と考えて, $$ y=C(x)e^{-\int f(x)dx} \tag{4} $$ とおく. $x$ で微分すれば $$\eq{ y' & =C'(x)e^{-\int f(x)dx}-f(x)C(x)e^{-\int f(x)dx} \\ & =-f(x)y+C'(x)e^{-\int f(x)dx} }$$ したがって, $C(x)$ を $$ C'(x)e^{-\int f(x)dx}=g(x) $$ を満たすように定めよう. 上式から $$ C(x)=\int e^{\int f(x)dx} g(x)dx +C $$ となる. これを $(4)$ に代入すると, $$ y=e^{-\int f(x)dx} \le( \int e^{\int f(x)dx}g(x)dx+C \ri). $$ これが(1)の一般解である.

上記のように(3)における $C$ を関数とみなして(1)の一般解を求める方法を 定数変化法という.

定数変化法の例題

例題を解くために公式をそのまま用いてもよいが, 定数変化法を理解するために同様の議論を繰り返す.

例題
$y'-y=x$ の一般解を求めよ.

解答
[解答]
まず, 斉次形の微分方程式 $$ y'-y=0 \tag{1}$$ を考える. この微分方程式は変数分離形なので, 解は $$ y=Ce^x\ \ (C \te{は任意定数}) $$ である. ここで, 定数 $C$ を関数 $C(x)$ と考えて $$ y(x)=C(x)e^x \tag{2}$$ とおく. これを式(1)に代入すると, $$ y'=\f{d}{dx}(C(x)e^x)=C'(x)e^x+C(x)e^x $$ $$ y+x=C(x)e^x+x $$ であるから, $C'(x)=xe^{-x}$ を得る. よって, $$\eq{ C(x) & =\int xe^{-x}dx \\ & =x(-e{-x})-\int (x)'(-e^{-x})dx \\ & =-xe^{-x}+\int e^{-x}dx \\ & =-xe^{-x}-e^{-x}+C }$$ したがって, 式(2)より $$ y(x)=(-xe^{-x}-e^{-x}+C)e^x=Ce^x-x-1\ \ (C \te{は任意定数}) $$ を得る. これが方程式(1)の一般解である.

例題
$y'+xy=x^2$ の一般解を求めよ.

解答
[解答]
$y'+xy=0$ の一般解は $y=Ce^{-\f{1}{2}x^2}.$ ここで $y=C(x)e^{-\f{1}{2}x^2}$ が与えられた方程式を満たすように $C(x)$ を定めよう. $$ y'=C'(x)e^{-\f{1}{2}x^2}-xC(x)e^{-\f{1}{2}x^2} =C'(x)e^{-\f{1}{2}x^2}-xy $$ ゆえに $C'(x)=x^2e^{\f{1}{2}x^2}$ とすればよい: $$ C(x)=\int x^2 e^{\f{1}{2}x^2}dx+C_1 =xe^{\f{1}{2}x^2}-\int e^{\f{1}{2}x^2}dx +C $$ したがって, 求める一般解は $$ y=x-e^{-\f{1}{2}x^2}\int e^{\f{1}{2}x^2}dx +Ce^{-\f{1}{2}x^2} $$ となる.

例題
次の微分方程式の一般解を求めよ. $$ y'-y\sin x=\sin x $$

解答
[解答]
斉次形の微分方程式 $$ y'-y\sin x=0 $$ は変数分離形である. この方程式の解は $$ y=Ce^{-\cos x} $$ である. 次に $y=C(x)e^{-\cos x}$ が与えられた方程式を満たすように $C(x)$ を定めよう. $$\eq{ y' & =C'(x)e^{-\cos x}+(\sin x)C(x)e^{-\cos x} \\ & =C'(x)e^{-\cos x}+y\sin x }$$ $$ \th y'-y\sin x =C'(x)e^{-\cos x} $$ ゆえに, $$ C'(x)=e^{\cos x}\sin x $$ とすれば, $$\eq{ C(x) & =\int e^{\cos x}\sin x dx \\ & =-e^{\cos x}+C }$$ よって, $$\eq{ y & =C(x)e^{-\cos x} \\ & =(-e^{\cos x}+C)e^{-\cos x} \\ & =Ce^{-\cos x}-1 }$$ これが一般解である.